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「日系カナダ人社会が第2次世界大戦の戦前、戦中、戦後、ブリティッシュ・コロンビア政府の日系カナダ人差別政策により被った精神的傷跡を癒すプログラムに投資することは、究極的には希望に満ちた政策です。このプログラムは、私たちが過去を認識し、記念するとともに、私たちの持つ過去の困難から回復する力を信じ、私たちの歴史と文化への誇りを持ち続ける限度力になります。」– Susanne Tabata
日系カナダ人歴史遺産協会はブリティッシュ・コロンビア州(以下、BC州)を拠点とする協会である。2022年3月30日にBC州政府は、1億ドルのBC州政府日系カナダ人補償プログラムを発表した。このプログラムには6つの枠組みがあった。全カナダ日系人協会は2020年から2022年にかけて、全国の日系カナダ人コミュニティと協力し、、この6つの枠組みを具体化する日系カナダ人歴史遺産プロジェクトを作成した。日系カナダ人歴史遺産協会は、日系カナダ人歴史遺産プロジェクトの実施を監督をするために設立された。6つの枠組みは 日系カナダ人記念碑、教育、高齢者の健康と福祉、日系カナダ人コミュニティと文化、文化遺産、人種主義反対プログラムである。
「日系カナダ人歴史遺産プロジェクトは、過去と現在の日系人高齢者を称える事業である。私達は、これらのプロジェクトをカナダ先住民のコースト・サリシュの先祖代々の土地で行えることに感謝します。」
日系カナダ人歴史遺産プロジェクトの 背景
BC州政府の日系カナダ人補償合意(以下、BCリドレス)の重要点は、全カナダ日系人協会(以下、NAJC)の下で、当時のNAJC役員スザンヌ・タバタの指導の下に、NAJC BCリドレス・プロジェクト・チームが作成した多くの文書や、BC州政府へのプレゼンテーションを基にしてよって作成された。
2019年、NAJC BCリドレス運営委員会は、マリカ・オマツとアート・ミキの指導の下に、「BC州における日系カナダ人に対する歴史的過ちを是正するための提言」(オマツ、2019年)という報告書を作成するために、全国の日系カナダ人コミュニティと協議を行った。 2019年11月までに、スザンヌ・タバタがBC州リドレス・プロジェクト委員会委員長に任命された。この委員会はBC州政府とのコミュニケーション戦略、交渉、プロジェクトの開発を任務とした。そして、主要関係者の検証を実施し、カナダ全国の日系カナダ人コミュニティとの協議の記録を分析し、教育、文化遺産、高齢者の健康と福祉、日系カナダ人コミュニティと文化、記念碑、人種主義反対プログラムという6つの主要分野を日系カナダ人歴史プロジェクトの柱にすることを決定した。これを委員会は「日系カナダ人は、BC州リドレス合意作成のために、プロジェクトの開発と、BC州政府とのコミュニケーションのための指標の作成を求める」という文書にして発表した(タバタ、ノーブル、2020)。
その後、BCレドレス合意の1億ドルの枠組みは、2022年3月30日にNAJC役員会とNAJC全国協議会で承認された。 当時のBCリドレス・プロジェクト委員会は、ディレクターのスザンヌ・タバタ、名誉共同チェアマンのマリカ・オマツ、名誉共同チェアマンのアート・ミキ、NAJC会長のロリーン・オイカワ、そして政府関係担当のポール・カリヤで構成されていた。
2022年5月21日、ジョン・ホーガンBC州首相は、BC州政府が日系カナダ人歴史遺産プロジェクトに1億ドルを提供すると発表した。これは、NAJCが日系カナダ人コミュニティがリドレスの正当性を主張し、日系カナダ人コミュニティの意見を聞き、その支援を得て主導し、発展させてきたBCリドレス合意運動の成果である。BC州および日系カナダ人コミュニティに対する説明責任を果たすため、BC州に日系カナダ人歴史遺産協会(JCLS)という監督委員会が設立され、日系カナダ人歴史遺産プロジェクトの実施を監督している。
BCリドレス運動の経過
2022年5月21日のBC州政府の発表で、教育、歴史遺産、日系カナダ人コミュニティ、記念碑、高齢者の健康と福祉、人種差別反対の6つの主要な分野が基本的に承認された。しかし、最終的な協定はまだ確定しておらず、資金も決定されていなかった。2022年9月と10月、教育、歴史遺産、高齢者の健康と福祉、日系カナダ人コミュニティと文化の各分野で、事前に決定されていたプロジェクトの具体化に取り組むため、総額6,200万ドルの2つの助成金が日本カナ人歴史遺産協会に交付された。2024年初頭には、1億ドル合意の残りの助成金と、記念碑プロジェクトの両方が最終的の決定される予定である。
日系カナダ人歴史遺産協会 (JCLS)
NAJCは、BC州政府および日系カナダ人コミュニティに対し、BC州リドレス・プロジェクトの実施を監督する責任を負う新しい協会、日系カナダ人歴史遺産協会(以下、JCLS) 、の設立を承認した。BC州を拠点とするこの協会は、BCりドレス合意プロジェクトの主要分野の継続的な活動を支援する役目を担う。NAJCはスザンヌ・タバタが以前のBCリドレス・チームの書類を、JCLSに引き継ぐことを承認した。JCLSの会則は、NAJCのBCリドレス・プロジェクトから引き継がれた。また、JCLCはBC政府によって承認された1億ドルの予算を(2022年3月30日)具体的なプロジェクトとして実施するためのスタッフを持つことになった。
JCLSはBC州政府と日系カナダ人社会に対して責任を負い、四半期ごとに全ての事業について報告することを義務付けられた。NAJC役員会とNAJC加盟団体協議会は、JCLSの設立を承認した。2022年6月29日、JCLSは法人化され、一連の委員の就任が承認された。 JCLS委員は、フレッド・ヤダ、ブライアン・ツジ、ラリー・オカダ、カレン・ニシ、ポール・カリヤ、スザンヌ・タバタである。JCLSの予算を管理するための制度も整えられた。JCLSの全てのプロジェクトは、2020年から2022年にかけて策定された「日系カナダ人歴史遺産プロジェクト」と合致することが必要とされた。また、現在のNAJC会長レス・コジマが新たにJCLS委員に就任した。そして、スザンヌ・タバタが日系カナダ人歴史プロジェクトの最高責任者として、その実施に当たっている。
「JCLSは日系カナダ人歴史遺産事業をを継続し、事業の詳細と進展を皆様にお知らせすることを楽しみにしています。」
BC州リドレス合意
2022年5月21日、BC州政府は、日系カナダ人コミュニティにとって、極めて重要な歴史的な発表を行った。
BC州政府は、NAJCのBCリドレス・プロジェクト・チームが、2020年3月から2022年3月までの2年間をかけて作成した、主要6分野の日系カナダ人歴史遺産プロジェクトに対して、1億ドルの資金を提供することを公表した。主要6分野とは、人種主義反対プログラム、教育、歴史遺産、記念碑、地域コミュニティと文化、そして高齢者の健康と福祉である。これらのプロジェクは、BC州政府が日系カナダ人に対して犯した歴史的過ちを認識し、是正する枠組みとして、NAJCが日系カナダ人コミュニティとの協議、NAJC加盟団体の意見、信頼できる調査、そして他の方法で、通常、発言する場を持たない日系カナダ人の声に耳を傾けることによって得られた意見を、包括的、総合的に分析した結果、生まれたものである。
ジョン・ホーガンBC州首相は、スティーブストン・マーシャル・アーツ・センターで、日系カナダ人コミュニティ代表を前にして、BCリドレス合意の発表を行った。式はムスクアムのメアリー・ポイントとセシリア・ポイントによる感動的な先住民の土地を使用することに対する謝辞で幕を開けた。講演者には、BC州政府人種主義反対プログラム担当政務官のラクナ・シン、日系カナダ人社会の長老であるアキ・ヨコイ、メアリー・キタガワらが名を連ねた。2012年にBC州議会の日系カナダ人に対する謝罪決議を主導したナオミ・ヤマモトBC州議会議員が、日系カナダ人コミュニティに関連した自身の活動ついて説明した。NAJCを代表してロリーン・オイカワの挨拶があり、続いて、NAJCの BCリドレス・プロジェクトを代表してスザンヌ・タバタの挨拶があった。
ケリー・グリーンBC州議会議員とスティーブストンの日系カナダ人コミュニティのリーダーであるケルビン・ヒゴ氏が司会を務めた。9人のBC州議会議員が式に立会った。また、同時に行われたズームによるオンライン式典には、11人のBC州議会議員と日系カナダ人コミュニティの代表が参加した。ズームによる式典に出席したのは、ホープのタシミ歴史協会、ニューデンバーの日系カナダ人抑留記念センター、、バンクーバーの隣組、バーナビーの日系全国博物館・文化会館(GVJCCA)、、さくら荘日系カナダ人高齢者施設、バーナビーのニミ日系ホーム、スティーブストンのコミュニティ・センターに集まった日系カナダ人高齢者、ナナイモのバンクーバー島中部日系カナダ人協会、ビクトリアのビクトリア日系文化協会であった。
我々が、この困難ではあるが、重要な仕事に取り組むにあたり、BC州の日系カナダ人コミュニティは我々の活動を強力に支援してくれた。例えば、過去と現在の年長者を称え、生存者に健康支援を提供し、学校と公共の場において日系カナダ人の歴史の教育を支援した。
BC 州における第二次世界大戦中の日系カナダ人の抑留と、その他日系カナダ人の歴史遺産に対する認識
今日、BC州の人たちは。公正で公平な社会の実現に尽力しているが、過去において常にそうであったわけではなく、その結果、多くの州民が矮小化された人生を送ってきたことを私たちは認識している。
第二次世界大戦の戦前、戦中、戦後を通じて、BC州政府は2万2千人近い日系カナダ人の西海岸からの強制退去と、終戦後のBC州内陸部への強制収容を主張した。そして、戦時中に、日系カナダ人の財産の没収と強制売却を推し進め、日系カナダ人の持ち物の競売を毎週行った。
1945年に第二次世界大戦は終了したが、日系カナダ人はBC州沿岸地域に戻ることを禁じられ、代わりにロッキー山脈の東に移動するか、戦争で荒廃した日本に強制送還されることを選択するように命じられた。1949年、日系カナダ人はBC州沿岸地域に戻ることを許されたが、沿岸地域には日系カナダ人が戻るべきものは何もなかった。
日系カナダ人は、BC州政府の手によって、取り返しのつかない社会的、経済的、心理的被害を受けた。政府は日系カナダ人から、家、ビジネス、農場、漁船、ペット、友達関係、持ち物を奪い、生計のすべてを奪い、日系カナダ人社会全体を消滅させた。しかし、それにもまして重要なことは、政府は日系カナダ人コミュニテ全体の自由、安全、基本的尊厳、そして故郷とアイデンティティの感覚を奪ったのだ。
これは決して我々が誇れる歴史でない。そこで本日、BC州政府を代表し、私は、私たちが過去に犯した不正義を認め、日系カナダ人がこの州の建設に貢献したことを感謝の意を込めて認めます。本日、BC州は日系カナダ人の未来のための歴史的投資プロジェクトを発表しました。第二次世界大戦中の日系カナダ人の抑留というトラウマの経験を、これからも永続的に認識し、日系カナダ人社会に敬意を表する歴史的な投資を行うことで、BC州政府は、日系カナダ人に対する謝罪を基礎として、さらにその上に人権を尊重する政府の歩みを進めていきます。
BC州政府は、全カナダ人日系人協会が、BC州の日系カナダ人コミュニティと協力して提案した日系カナダ人歴史遺産プロジェクトに、1億ドルの資金を提供します。プロジェクトには次のようなものがあります。記念碑、教育、高齢者の健康と福祉、地域社会と文化、歴史遺産の修復、人種主義反対プログラム、です。
BC州政府は、戦前・戦中・戦後のBC州政府の不作為と行動のために、日系カナダ人の人々が受けた苦難とトラウマを認めます。私たちは、過去の傷を癒すこには、長い時間が必要なことも知っています。
私たちはBC州政府全体、そして政府のパートナーとともに、今日私たちが暮らすBC州におけるすべてのコミュニティの多様性と貢献を尊重することに重点を置いています。、過去の過ちから学び、歴史的不公正を認めることは、これまで以上に重要です。いかなる権力や説得にも屈することなく、同胞のために立ち上がり、私たちが大切にしている人権を守りましょう。
ジョン・ホーガン ブリティッシュ・コロンビア州首相
日系カナダ人歴史遺産ブログラム
コミュニティ基金
1,400万ドルのコミュニティ基金は、日系人歴史遺産プログラム中で最も将来を見据えたもので、カナダ全国のあらゆる世代の日系カナダ人を支援する。このプログラムは、コミュニティ・プロジェクト、芸術、スポーツ、奨学金、インフラストラクチャー、世代間福祉の6つの分野に資金を配分し、日系カナダ人コミュニティの未来に投資する。
この分野で長年の経験を持つウォルター・クアンとエイコ・エビーが、このプログラムのガイドライン草案の作成に重要な支援をした。このプログラムの諮問委員会には、全国の日系カナダ人地域コミュニティの経験豊かな人たちが参加している。諮問委員会は、具体的なガイドライン、申請手順、評価手順について検討し、意見を述べた。
私たちは、アート・ミキとマリカ・オマツの日系カナダ人歴史遺産プロジェクトへの継続的な支援に感謝いたします。また、この事業のそれぞれの分野について、具体的なコメントを提供してくださった、経験豊かな諮問委員会のメンバーの方々に感謝の意を表します。具体的には次の方々です。
奨学金:
デイヴィッド・モリツグ、リサ・ドマエ、ジョージ・イワマ、キルスティン・マカリスター、ジェニファー・マツナガ、インフラストラクチャー-ダン・ノムラ、ナオミ・ヤマモト、アート・ミキ、ゲーリー・カワグチ、ジョーダン・ライリー、
コミュニティ・プロジェクト:
アート・ミキ、ゲーリー・カワグチ、アレックス・ミキ、ニコラ・コヤナギ、マリカ・オマツ
世代間福祉:
ニコラ・コヤナギ、リアン・トシコ・シンプソン、ルーシー・コモリ、ジェス・マスダ、カーリー・オカムラ
スポーツ :
ビル・ハタナカ、ヴィッキー・スノハラ、ジム・コジマ、ミッチェル・カワサキ、アラン・サカイ
芸術:
ミディ・オノデラ、メリサ・カミバヤシ・ステイプルズ、ジェニファー・ハシモト
高齢者の健康と福祉
JCLSの傘下の日系カナダ人生存者健康福祉基金協会は、BC州政府が日系カナダ人差別政策(1942年〜1949年)の生存者の健康支援に提出した2,800万ドルを管理し、生存者に分配する。この協会は全国の日系カナダ人コミュニティの代表者で構成され、正式には「日系カナダ人生存者の健康と福祉基金協会」いう名称である。協会は次の人達によって構成されている。
会長: キャシー・マキハラ(日系高齢者ヘルスケア&住宅協会、バーナビー、BC州)
ルース・コールズ(日系高齢者ヘルスケア住宅協会会長、バーナビー、BC州)
ケルビン・ヒゴ (スティーブストン・シニアーズ、リッチモンド、BC州)
デイビッド・イワアサ(隣組、バンクーバー、BC州)
スーザン・マツモト(カルガリー日本人コミュニティ協会、カルガリー、アルバータ州)、
マレーネ・モリ(マニトバ日本文化協会シニア・ホリゾンズ・クラブ、ウィニペグ、マニトバ州)
アン・アシュリー(もみじヘルスケア協会共同代表、トロント、オンタリオ州)
シェリー・アン・ヤマシタ(もみじヘルスケア協会、トロント、オンタリオ州)
アウトリーチ・チームリーダー:ホリー・サカキ
BC州日系カナダ人史跡
このプログラムの目的は、BC州の日系カナダ人が先祖代々生活してきた場所や、その他の歴史的に重要な場所に、解説付きの記念碑、記念建造物を立て、戦前および戦時中の日系カナダ人の歴史に対する一般カナダ人の認識を高めることである。このような場所を記念するプロジェクトは、永続的な価値を持つ。BC州の日系カナダ人の永続的な歴史遺産を理解するためには、現在ではほとんど一般のカナダ人が目にすることのないような場所を、BC州のの新しい世代が目にすることができるようにすることを目的としている。これらの歴史遺産には、戦前、戦中、戦後に日系カナダ人の被った国家公認の人種差別政策も含まれる。具体的には各地域の日系カナダ人の歴史を記念、保存し、教育に取り入れるプロジェクトが含まれる。
日系カナダ人にとって、私たちが強制移動させられる以前に生活していて、故郷と呼んでいた場所、つまり私たちが繁栄し、家族を養い、ビジネスを築いた場所や、逆境を経験しそれを克服した場所を認識し保存することは、私たちの集団的なトラウマ経験を癒すためにとても重要なことである。私たちにとって、歴史的な場所を記念し称えることは、残念なことに、まだほとんどの場所で十分に行われていない。多くの場所は日系カナダ人に認知されておらず、まだ保存のための十分なサービスも受けられないままに放置されている。私たちの歴史を取り戻し、私たちのBC州における日系カナダ人の歴史遺産とのつながりを再構築することは、私たちのコミュニティの活動の中核をなすものである。
背景
最初の記録に残っている日本からの移民は、19世紀後半にBC州に到着した。それから数十年にわたり、日系カナダ人はBC州全土にコミュニティ、家庭、生計手段を築いた。資源産業、小売・商業、宿泊施設、語学学校、教会、寺院などが、BC州の日系カナダ人の活気ある経済生活と文化を支えていた。BC州沿岸の島々、フレーザー・バレー、内陸部のオカナガンには、活気に満ちた農場があった。スティーブストンは、漁業、漁船の建造、缶詰製造の中心地としてよく知られていたが、この他にもプリンス・ルパートや、さらに北にあるコミュニティも含め、日系カナダ人による数多くの沿岸コミュニティが存在した。しかし、1942年に22,000人以上の人々が強制的に資産を奪われ、追放され、監禁され、抑留され、強制送還された。戦後には2度目の根こそぎ追放が行われ、日系カナダ人はBC州からほぼ完全に追放された。1946年には4,000人近くの日系カナダ人が日本に強制送還された。これらの集団追放は1950年代初頭まで10年間続いた。
1940年代のほとんどの収容所は、既に取り壊され、その存在を示すものはほとんど残っていない。BC州全土を見渡しても、日系カナダ人が普通に暮らしていたことを示す物的証拠はほとんど残っていない。このように日系カナダ人の歴史の多くは、今日ではBC州の人々には見えないままである。バンクーバーのパウエル街、スティーブストン、そして後のBC州内陸部の強制収容所などの、戦前の日系カナダ人の活動の大きな拠点になった場所だけに注意が向けられている。その結果、BC州の都市部以外にあった日系カナダ人コミュニティは、影が薄くなってしまった。
教育
教師教育委員会は、、マサコ・フカワ、グレッグ・ミヤナガ、ビビアン・ワカバヤシ・ライグネスタッド、コニー・カドタからなる諮問委員を中心に設立された。教師教育委員会のプロジェクト・ディレクターはマイク・ペリー=ウィッティンガムである。これから3年間のプロジェクトは、日系カナダ人の歴史学習指導書の開発と、この指導書を使用する教員を養成のためのデジタルコースの作成という2つの重要な要素で構成されている。また、教師資料委員会は、BC州を拠点とする17名の教師で構成され、その多くは日系人の血を引く幼稚園から高校までの教育関係者である。
記念碑
BC州政府との共同プロジェクト
BC州の州都ビクトリアに、BC州沿岸部の住居を強制的に根こそぎ奪われた日系カナダ人22,000人全員を顕彰する記念碑の建設が計画されている。この記念碑は、BC州市民サービス省が適切な手続きを経て運営する。
「この記念碑の夢とビジョンは、主にBC州沿岸沿いの市町村に定住した日系カナダ人の生い立ちを記念することである。壁に刻まれた、手で触って識別できる名前は、強制移住、資産の差し押さえと強制売却、強制収容、抑留、永住権剥奪、そして二度にわたる強制移住の前に、日系カナダ人個人や家族がどこに住んでいたかを認識するのに役立つだろう。このプロジェクトのデジタル版を作成して、記念碑のどこに探している名前があるのかを検索できるように予定している。」スザンヌ・タバタ、日系カナダ人歴史遺産協会執行委員長
日系カナダ人人名データベース
マイケル・アベをリーダーとするビクトリア大学の研究チームは、カナダ図書館・公文書館のケースファイル14,500件から人名データベースを構築した。このデータベースを基礎とし、他の資料も参考にして、日系カナダ人人名データベースを作成した。この調査は2023年1月から2024年1月まで行われた。このデータベースには、BC州沿岸地域から強制移動した日系カナダ人が記載されているが、この他にも1942年から1949年までに強制収容所で誕生した日系カナダ人のデータべースを現在、作成中である。
人種主義反対プログラム
人種差別反対プログラムは、1942年から1949年にかけて日系カナダ人が被った歴史的不公正を認め、是正するために、2019年に全カナダ日系人協会とBC州政府によって開始されたBCリドレス合意の6つの主要分野ののうちの1つである。
人種主義反対に深く根ざした活動は、現在の日系カナダ人コミュニティと70年前に受けた不公正な政策を結びつける歴史的な糸である。人種主義反対は、現在のBC州政府の優先事項とも密接に関連している。制度化された人種差別政策の直接の体験者である私たちの先達たちは、BC州リドレス合意パッケージに、強力な人種主義反対の要素を入れることで、二度とこのようなことが起こらないようにすることを最も望んいる。。BC州政府は、人種主義反対プログラム担当政務官を任命し、人種主義反対データ法(2022年6月)を制定し、人種主義反対運動に取り組んでいる。また2022年には、多文化主義諮問委員会(MAC)にジュディ・ハナザワが任命された。NAJCは。この人種主義反対プログラムを中心にして、人種主義反対運動や、運動の支援活動を推進する。