世代間ウェルネス部門報告書
世代間ウェルネス
BC州の日系カナダ人補償合意(BCリドレス)の一環として、2021年に州政府へ提出された提言書の中で、カレン・コバヤシ博士(Dr. Karen Kobayashi)は健康と癒しに関する助成の必要性を強く訴え、博士は世代間トラウマへの対応が、より広範囲な歴史的過ちへの取り組みにおいて不可欠であると主張しました。
博士は、その提言がもたらした影響の全容を目の当たりにすることなく旅立たれましたが、その尽力は日系カナダ人歴史遺産協会(JCLS)が補償プログラムの枠組みを作成する際、極めて重要な役割を果たしました。JCLSは博士の提言に基づき、5つの柱の1つとして、「高齢者の健康と福祉」を確立しました。当初この柱に位置付けられていた「世代間ウェルネス」は、その後、全国の家族、グループ、組織を対象とする独立したコミュニティ基金の助成分野へと発展を遂げました。
世代間ウェルネスは、「家族間の共有と癒し」、「シニア世代の世代間グループウェルネス」、「世代間グループ集会」の3つの明確なカテゴリーに分けて実施されました。JCLSは、このきわめて重要な助成分野のガイドライン草案を作成したエイコ・エビー氏(Eiko Eby)に謝意を表するとともに、助言および審査チームとして尽力したアレックス・ミキ(Alex Miki)、ニコラ・コヤナギ(Nicola Koyanagi)、ジャン・ノブト(Jan Nobuto)、リアン・トシコ・シンプソン(Leanne Toshiko Simpson)、ルーシー・コモリ(Lucy Komori)、ジェフ・マスダ(Jeff Masuda)、カーリー・オカムラ(Carley Okamura)、ジョン・エンドウ・グリーンウェイ(John Endo Greenaway)、エイコ・エビー、タヤ・ミカド(Taya Mikado)の各氏に深く感謝いたします。また、助成申請および報告の過程において家族の皆さまを支援した、JCLSスタッフのチカ・バストン氏(Chika Buston)、エイコ・エビー、ラリッサ・ヒゴ氏(Larissa Higo)、キャシー・パウルソン氏(Kathy Powelson)の多大な貢献に、心より敬意を表します。

家族間の共有と癒し部門
この部門は、1940年代にBC州政府の政策および行為によって生じた、世代間トラウマに向き合い、その癒やしを支えることを目的として、影響を受けた日系カナダ人の個人および家族を支援するために特別に設計されました。募集開始直後よりコミュニティからの切実な思いは即座に形となって表れました。2回の募集を通じて、合計241件のプロジェクトに助成を届けることができました。これらのプロジェクトは、オーラルヒストリー(対象者から直接話を聞き取り、記録・保存すること)、過去の経験を言葉にする取り組み、デジタル・スクラップブック、自費出版の書籍、家族の集いなど、多様な形で展開されました。
2026 Study
世代間ウェルネス:家族間の共有と癒やし部門 助成受給者からの声
※本報告書は英語版のみの公開となっています。
2026年、JCLSはルーシー・コモリ氏に委託し、家族間の共有と癒やし部門の受給者を対象とした調査を実施しました。これにより、世代を越えた関わりが大きく増加していることが明らかになり、多くの回答者が、自身の家族の物語やレガシーを現在の日系カナダ人世代へ受け継ぎ、さらに将来の世代にもその歴史が残されることを望んでいると述べました。調査の結果、全体の3分の2にあたるプロジェクトが家族の物語や歴史の探究を含んでおり、また3分の1のプロジェクトでは、取り組みやその過程の中で「癒やし」が重要な要素として言及されていることが分かりました。
調査概要
本調査は2つの段階に分けて実施されました。第1段階では、申請主の居住地域および世代的背景、ならびに実施されたプロジェクトの種類について分析を行いました。第2段階では、参加を希望した申請者を対象に、Zoomによるインタビューを実施し、参加者の経験から得られた気づきや意見を収集しました。
JCLSは、助成を受けた全241件の受給者に対し、インタビューへの参加案内を送付しました。その結果、57名の申請者が参加の意向を示し、最終的に54件のインタビューを実施し、56名が参加しました。参加者の居住地域別内訳は、オンタリオ州42%、ブリティッシュ・コロンビア州42%、アルバータ州11%、マニトバ州3%、ケベック州2%でした。この分布は、助成を受けた全241件のプロジェクトにおける申請者の地域構成が、カナダ全体における日系人口の分布と、ほぼ一致していました。
本報告書は一般公開されており、こちらからご覧いただけます。
「JCLSの取り組みは、多様な歴史を受け止め、支えるための場と仕組みを築いてきました。そのおかげで、私たちは何が起きたのかだけでなく、コミュニティの中で家族や様々なグループがどのように人生を立て直し、今の自分たちへとつながってきたのかを、より深く理解できます。多様な歴史が大切にされ、そして一人ひとりが自分たちの力で前に進むこと、どちらも欠かせないものです。その実前を目の当たりにできることが、私の心を躍らせてくれるのです。」
―カーステン・マカリスター氏(Kirsten McAllister)
(プロジェクト:祖母の家族アルバムの修復)
「家族や、家族の関係性をより深く理解できたこと自体が、私にとっての癒やしでした。そして予想打にしていなかったのは、生存者である親族にもたらされた癒しの深さです。自身の経験を語り、分かち合い、耳を傾けてもらえたことは、言葉では言い尽くせないほどの大きな意味を持っていました。」
―カレン・コヤナギ・ガイガー氏(Karen Koyanagi Geiger)
(プロジェクト:シニア世代からの家族の物語の集約と家族で食を囲む集い)
「私にとって最も心を打たれた瞬間の一つは、父の文章を初めて読んだときでした。小さな家族にあてた冊子の中で、父は『自分のルーツを探して』というエッセイを寄稿していました。考え深く、はっきり物を言う父ですが、自身の子ども時代や収容時代について語ることはほとんどありませんでした。初めて明かされた父の思いや記憶に触れることは、感情を強く揺さぶられる、忘れがたい体験でした。」
―エミー・ツムラ氏(Emmie Tsumura)
(プロジェクト:戦前および戦時中の家族ゆかりの地を巡る家族巡礼)

写真左より:シェリル(Cheryl)、アレックス(Alex)、アン(Ann)、デイビッド(David)、トム(Tom)、ボブ(Bob)、メリッサ(Melissa)、クラーク・ウェスト(Clarke West)。
―世代間ウェルネス報告書より

写真手前から:サンドラ・タツコ(Sandra Tatsuko)、パトリシア・ユキコ(Patricia Yukiko)、ナンシー・アキコ(Nancy Akiko)、ダグラス・サブロウ(Douglas Saburo)、マイケル・アキラ(Michael Akira)。
―世代間ウェルネス報告書より
感謝の言葉
JCLSは、この重要な調査に献身的に取り組んでくださったルーシー・コモリ氏および、インタビュアーとアドバイザーの皆さまに心より感謝いたします。本調査は、これらの助成が家族のつながりをどのように深め、癒しにつながっていったのかを教えてくれました。 また、ご自身の体験を分かち合い、この調査に参加してくださった助成受給者の皆さまに、深い感謝の気持ちを申し上げます。





※本報告書は英語版のみの公開となっています。

